「地域の健康レベルを上げるのは自分たち」―仕事の意義を伝え、本質でつながる組織運営

「地域の健康レベルを上げるのは自分たち」―仕事の意義を伝え、本質でつながる組織運営

  • 午前と午後で勤務を分け、業務負荷を増やさず診療時間を確保 新人が来ない厳しい時代、診療継続を支えたのは高い定着率 歯科衛生士に伝えるのは、規則ではなく自分たちの仕事の意義

午後勤務の導入で、日中は通院できない働き世代の患者に対応

最初に、スタッフの勤務体制について教えてください。

髙須 晃太 先生: 当院では、パートスタッフが中心の午前勤務と、常勤スタッフが中心の午後勤務、さらに午後勤務を早番・遅番に分け、三つの区分の勤務体制をとっています。1日を細分化して人を充てることで、誰かが急に休んでも丸1日人が足りない、ということは避けられます。また、前もって休みたい日がわかっているときは、その日だけ早番の人に少し長く勤務してもらうなど柔軟に対応できるので、休みが取りやすいというメリットがありますね。

この勤務体制の導入に至った背景は。

髙須 晃太 先生: 日中は仕事で通院することが難しい、働き世代の患者さんにしっかり対応したい、というのが大きな理由です。そのために診療時間を長くしているので、最後まで働くスタッフの長時間労働を防ぐ目的で、この勤務区分をつくりました。また、子育て中の方など、午前だけの勤務は比較的人が集まりやすいため、それなら夕方以降も時間が使える若いスタッフと勤務時間を分けたら良いのではと考えました。午前働く人、午後働く人、とそれぞれ異なる勤務体制をつくり、今の形に落ち着きました。

募集をしても全く人が集まらず、採用に苦労した時代も

採用は最初から順調だったでしょうか。苦労した点はありますか?

髙須 晃太 先生: 開業時は「オープニングスタッフ募集」と大々的に募集をかけ、多くの人が来てくれたのですが、それから約4年間はあれこれ試しても全く応募がありませんでした。人材確保はこんなに難しいのか、と年を経るごとに実感し、診療時間の短縮なども一時は考えたほどです。しばらくしてクオキャリアの就活イベントに出展させてもらい、その年に3人を採用、さらに新たに入ったスタッフの後輩がまた来てくれて…と、徐々に採用の良いサイクルが回るようになってきました。

人が来ない時代をどうやって乗り切ったのでしょうか。

髙須 晃太 先生: 元々いたスタッフのおかげですね。最初に入ったスタッフが辞めずに定着してくれたことで、なんとか診療を続けることができました。オープニングスタッフのとある歯科衛生士は、7年以上働いたあとにかねてから希望していた留学のために退職したのですが、彼女と入れ違いで入職する新人教育のために退職を半年延期して、マニュアルなども整備してくれました。当院のことを考えてくれる信頼できるスタッフに恵まれ、感謝しています。

「なぜこの仕事を選んだのか」、本質でつながる職場に

院長として、人を定着させるために何か工夫したことはありますか?

髙須 晃太 先生: クレドをつくったり、コミュニケーションを密にしたり、労務関係を整備したり…。スタッフが不安にならないよう、できることはいろいろと頑張りました。それから意識したのが、無理に「しつけをしない」ということです。もちろん最低限のルールは必要ですが、医療の質に影響しない部分については、過度な規則で縛ることなく、スタッフがのびのびと働ける環境づくりに努めてきました。一方で、私が大切だと考える本質の部分は、都度伝えてきたつもりです。

具体的には、どのようなことをスタッフに伝えていますか。

髙須 晃太 先生: 自分たちの存在意義、のようなことですね。例えば、当院が遅くまで診療していることで、歯の健康が守られる働き世代がいるはずです。歯科衛生士の一人ひとりに、自分の仕事は地域の歯科医療の一端を担っている、地域住民の健康レベルを底上げするのは自分たちだと思ってほしいんです。日々の患者さんとの触れ合いで、手技の結果が出て症状が改善したり、説明に反応が返ってきたり、そうした思いとリンクする出来事はきっとある。流れ作業で漫然と仕事をするのではなく、やりがいを感じながら働くことができるよう、仕事の意味を伝えることが大切だと考えています。