スタッフ全員が退職したことを機に奮起、院長自身が学んで行動し、成し遂げた変革

スタッフ全員が退職したことを機に奮起、院長自身が学んで行動し、成し遂げた変革

  • 開業当初は特に何もせず、患者もスタッフも少ない歯科医院だった スタッフ全員の退職を機に行動を起こし、変革を起こす 医院の成長に必要なのは、スタッフ・患者・そして自分自身への「教育」

全てに苦労した開業当初、自分一人だけで運営していた時代も

開業当初、貴院の運営に関して何か苦労したことはありますか。

山井先生: 最初は、集患、採用、全てのことに苦労しました。僕らの世代は、大学に残らない場合、開業するのが当たり前という時代でした。僕も経営に関する知識がないまま大学卒業後3年で開業したため、何をすればいいのか分からず、患者数は今の半分以下でした。採用も戦略的には行えていなかったので、スタッフもほとんどおらず、しばらくは自分一人だけ。僕自身が受付をして、治療して、会計して…という時代もありました。

現在、大規模な歯科医院に成長しています。変化するきっかけは。

山井先生: 開業して10年くらいは、「こんなものなのかな」と思い、特に何も対策をしていませんでした。ただ、当院が立地する地域は人口が増えていて、繁盛しなくても、幸か不幸かなんとかやっていけていたんです。そんななか、開業10年目くらいのときに、いろいろとあって当時のスタッフが全員辞めてしまったんです。このままではダメだと思い、マーケティングや経営についてイチから勉強をはじめました。これが、当院が変わるきっかけになりました。

歯科医院としての目的を定義し、働く環境や教育体制を整備

具体的には、どのようなことに取り組んでいるのでしょうか。

山井先生: いろいろなことをやりましたが、そもそも人を雇う以上、しっかりとした「会社」にしなければいけないと気づきました。良い治療をするのは当然。そのうえで自分たちが働く目的をしっかりと定義し、やりがいが持てる環境づくりが必要です。また教育も大切で、例えば外部講師を呼んで接遇セミナーを開催したり、基礎的な手技を学ぶ研修システムを導入したりと、当院に入職した人が成長できる場であることを意識しています。

歯科医師を採用する際に、意識していることはありますか。

山井先生: 大事にしているのは、当院の治療を「標準化」し、その治療を任せられる歯科医師を採用することです。目的をしっかりと明文化し、そこに向けてさまざまな取り組みを戦略的に行っているので、学びたいという成長意欲がある方には合うと思います。見方を変えれば、仕事に対する厳しさもあります。一緒にやっていける方かどうか、実際に働いてみないと分からない部分もあるので、多めに採用することを心がけています。

まずは行動を起こすこと。継続することで見えてくるものがある

歯科医院を成長させるために、何が一番大切だと思いますか。

山井先生: 治療、経営、そして根本は教育だと思います。スタッフに対する教育だけではなく、患者さんのデンタルIQを上げることも、院長自身が学び続けることも「教育」。教育には時間もコストもかかりますが、成長のためには必要な投資です。それから、スタッフや患者さんと真正面から向き合って、“人と人”としての関係を構築することも重要です。開業当初の誰も来なかった時代、うちは良い歯科医院ではなかったのだろうと思うんです。自分たちが変わることで、成長の循環が生まれるのではないかと考えています。

最後に、課題に悩む歯科医院にメッセージをお願いします。

山井先生: まずは行動することですね。マネジメント、教育、採用、いろいろな課題があると思いますが、それに対して「やらない理由」はいくらでも挙げられます。しかし、考えるだけで行動に移さなければ、何も変えることはできません。そして、これだと思ったことは続けること。やってみることで分かること、継続することで見えてくるものが、きっとあるはずです。