余裕を持った採用で生まれるゆとりが、歯科医院全体のプラスに
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予防歯科時代の到来に備えた体制作り 他院を見学し、新卒歯科衛生士の向上意識を啓発 大切なことは「多めの雇用」と「衛生士チームの自走化」
時代のニーズを捉え、ユニットや人員を増やした
現在は、どのような体制で診療なさっていますか。
岡本 大祐 先生: 私が院長に就任した当初は、ユニット5台、歯科衛生士1人からのスタートでした。現在はユニット10台。予防用と治療用があり、歯科衛生士も7人まで増えました。ユニットを増やしたのは、時代のニーズが変わってくると考えたことが理由です。これからは悪くなった歯の治療ではなく、メンテナンスや、予防を目的とした来院者が多くなるはずだと考えました。併せて歯科衛生士も増やし、予防中心の診療体制を敷いています。
医院の組織としては、どのような形をとっているのでしょうか
岡本 大祐 先生: 当院では、院長である私が直接全員を見るのではなく、アシスタント部門、歯科衛生士部門でそれぞれ主任を設けて、その主任を通じてマネジメントする形にしています。何かあった際も、私からではなく主任から皆に伝えてもらうというやり方ですね。管理職に抜擢することでその人自身が成長しますし、メンバーにとっても同じ職種の人から伝えられることでより理解が進みます。組織全体にとってメリットが大きいのではないかと考えています。
他院の臨床現場を見学、人材育成に生かす
歯科衛生士の教育は、どのように取り組んできましたか。
岡本 大祐 先生: 始めから思うようにできたわけではありませんでした。将来を見据えて、予防に注力していくこと、そのために必要な衛生士業務について伝えたところ、最初は「そんなことやる必要ないのではないでしょうか」と言われたことを覚えています(笑)。そのため、まずは方針を理解してもらうように努めるところからスタートしました。それから勉強会に参加したりフリーランスの外部講師を呼んで指導してもらったり、だんだんと予防業務に関して学ぶ機会を増やしていきました。
教育に、外部の力も積極的に活用しているんですね。
岡本 大祐 先生: そうですね。近々、知り合いの歯科医師の先生のところへ、歯科衛生士の研修として見学に行くことも予定しています。新卒で入ってそのままずっと残ってくれている歯科衛生士の中には、他院がどういうやり方でメンテナンスをしているのか、どんな雰囲気で治療しているのか、他の様子を全く知らないという人も多いんです。当院のやり方だけを学んできているので、他の歯科医院からも刺激を受けて、何か良い方向に化学反応が起きてくれればと思っています。
余裕を持った採用が、歯科医院全体のプラスにつながる
歯科衛生士を採用する上で、大切にしていることはありますか。
岡本 大祐 先生: 重要なのは、「多めに人を雇い続ける」ということですね。歯科医院の運営上も積極的にやりたいことに挑戦していけますし、なにより人が少なくてギリギリの状態で仕事をすることは、精神衛生上もよくないですからね。人が多い分、時間に余裕ができて心のゆとりも生まれますし、その時間を付加価値の創造に活用できる、そんな好循環が生まれるんです。
人員に余裕があることで、歯科医院全体のプラスにつながるんですね。
岡本 大祐 先生: そうですね。幸いなことに、クオキャリアさんを通じて毎年新卒の歯科衛生士を中心に新しい人が入り、そして辞めずに残って成長してくれています。歯科衛生士が自立して患者さんのメンテナンスをし、歯科医院を運営できるようになることで、私たち歯科医師も焦らずに治療することができます。患者さんとのコミュニケーションの時間もしっかりと取ることができるようになり、治療の質向上にもつながるはずです。「そんなことやる必要ない」と言われてスタートした予防歯科ですが、採用、教育を通じてここまで来ることができました。これからももっとみんなで進化して、より良い治療につなげていきたいと思っています。