「人は育てるもの」一人ひとりと向き合い伸ばす“ビジョナリークリニック”
-
患者にアンケートを取り、寄せられた声に応えてリニューアル 求める人物像を明確にして、社会人として必要な育成を 成長のタイミングを見逃さないよう、院長として常に人材に目を向ける
患者にアンケートを取り、リニューアルで要望に応える
もともとはお父様が開業なさった歯科医院だと伺いました。
岩瀬 啓介 先生: はい、当院は1978年に父が開業した歯科医院で、私は大学卒業後勤務医として経験を積んだ後にこの地に戻り、二代目として院長に就任しました。私が戻ってきた当時はスタッフが3人、歯科技工士さんが1人という体制で、歯科衛生士は1人もいなかったんです。しばらくはそのまま診療を続けていたのですが、やはり必要性を感じて歯科衛生士の募集をかけました。現在、歯科衛生士は10人で、一般歯科、矯正、予防、それから審美治療なども行い、診療の幅も広がっています。
院長就任当時から今のような形を目指して進んできたのですか。
岩瀬 啓介 先生: 当時はまだ自分の中に「こうしたい」というビジョンもなく、とにかくがむしゃらに働いていていました。しかし続けていく中で、患者さんにもっと満足していくためには何が必要か、まずはしっかりと知る必要があると考え始め、患者さん全員にアンケートを取ったんです。アンケートを通じ、駐車場が狭い、待ち時間が長い、なかなか予約が取れないなど、いろいろなご要望をいただきました。こうした声に応えようと、2016年に一度歯科医院を閉め、全面的にリニューアルをしました。どうしても歯科医院は嫌われがちな場所ですが、そんな中でも、少しでも皆さんが楽しく通いたいと思える場所にしたいと思ったからです。
目標を明確にして共有、「社会人」として育成を
目指す医院の姿が定まり、スタッフの育成はどうしていますか。
岩瀬 啓介 先生: 就任当初は育成についてもしっかりとした形がなかったのですが、現在は、スキルはもちろん、社会人として組織の中で働く上で必要な考え方、当院のビジョンの共有なども含めて、時間をとって学ぶ時間を作るようにしています。歯科医院として目指す具体像がないと、何をやってよいかわからなかったり、指示待ちになったりしてしまいがちです。そのため、「こういう人材を目指そう」ということを明確にして、その上で、失敗してもいいのでまずやってみようというところからスタートするようにしています。
医院が目指す方向をしっかりと示すことが大切なんですね。
岩瀬 啓介 先生: そうですね。ビジョンの共有ができていなかったころは、例えば新たに審美治療を始めようとしたときも、歯科医院として何を目指すのかをなかなか理解してもらえなかったり、反発を受けたりすることもありました。全体の方針に沿って動くというのは、仮に当院以外で働くことになっても当然求められる大切な要素です。スキルだけではなくそうした社会人として必要な考え方も含めて、育成をするように心がけています。また現在は、採用の面接時から、院長としての考え方や当院のビジョンを丁寧に説明し、納得した上で仕事をスタートしてもらえるようにしています。
採用した以上は育成に責任を持ち、常に目を向け成長を逃さない
数多くの衛生士さんがいますが、採用で意識していることはありますか。
岩瀬 啓介 先生: 人が足りなくなってから急ぎ採用するのではなく、良い人材との出会いを逃さないよう、そしてしっかりと教育できる時間を取れるよう、ある程度余裕があっても常に採用していく、ということを心がけています。その点で、クオキャリアさんにはいつも助けられていますね。大量に採用して1人、2人残ればいいという考え方もあるとは思いますが、私は、採用した以上は責任を持って育成もしていきたいと思っています。「人は育てるもの」という考えで、今の時点で経験やスキルがなくても、当院に合った人を積極的に採用していきたいと考えています。
将来の育成まで責任を持って採用を考えているんですね。
岩瀬 啓介 先生: そうですね。そのためには、お伝えしたような学ぶ時間の確保に加えて、院長である私がしっかりと一人一人とコミュニケーションを取って、成長を見守ることも大切だと思います。新しい方たちは特に、ある時点で急激に伸びることがあります。適切なタイミングで適切な課題を提供することでその成長を後押しして、スタッフとともにより良い歯科医院を作っていきたいと思います。