理念に沿った経営戦略で、患者とスタッフの「口福追求」を

理念に沿った経営戦略で、患者とスタッフの「口福追求」を

  • 歯周病専門医として予防注力、衛生士も多数採用 定期的に中核メンバーでミーティング、経営と現場の目線を合わせる 理念を掲げ、患者とスタッフにとっての幸せな環境をつくる

「これからは予防の時代」、開業時から予防注力

開業当時の歯科医院の規模、体制について教えてください。

村内 利光 先生: 当院は2009年の開業で、最初はユニット4台、私のほか受付1名、歯科衛生士3名の計5人でスタートしました。4年後にユニットを6台に増やし、開業から10年ほどたった際に増築して現在の9台の規模に広げました。現在は、歯科衛生士や受付などを入れて、全部で30名以上のスタッフで運営しています。私自身がもともと歯周病専門医で、これからの歯科医院経営は虫歯治療ではなく予防と歯周病治療が主体となっていくだろうと以前から考えていました。そのため当院では多くの歯科衛生士を揃え、予防に力を入れています。

今の規模に至るまでどのような形で人を増やしていったのでしょうか。

当院は、長く働いている人と新しく入ってきた人がバランスよく働いてくれていると思います。4人いた開業当初のスタッフのうち3人はその後結婚して兵庫を離れることになり退職したのですが、1人は残っていますし、開業半年から1年の間に採用した人も、今の中心的なメンバーとして活躍しています。現在採用しているのは新卒のスタッフが中心で、毎年大体1人から2人程度新しい方が入っている感じですね。

中核メンバーによる会議を定期的に開催、スタッフの目線を合わせる

人数が増える中で、組織作りはどのように意識していますか。

組織を作り上げるためには、医院の方向性を浸透させたり、サポートし合える人間関係を築いたり、またそうした必要性をスタッフが意識することが必要です。ただし、10名以上の規模になると、院長一人で全員と常にコミュニケーションを取ることが難しくなってきます。当院では月に一回程度、中核のスタッフ2、3名とベテランスタッフといった組み合わせで会議を持ち、今対応すべき案件や当院の理念などについて話し合う場を設けるようにしています。

経営のねらいを落とし込める仕組みがあるんですね。

そうですね。大切なのは、歯科医院としてどこを目指しているのか、何のために自分たちが仕事をしているのかを、院長が明確にすることだと考えています。そこがないと、患者さんはもちろん、働く人たちもこの場にいていいのか迷いが生じてしまいます。方針を示した上で歯科医院それぞれの規模に合わせた理念を掲げてメッセージを作り、集患や組織運営の戦略を立てることで、必要とされるより良い歯科医院を築いていくことができるのではないでしょうか。

理念は「口福の追求」、患者とスタッフにとって幸せな環境を

貴院の理念、理想としている職場像をお聞かせください。

当院では、「口福の追求」を理念の一つに掲げています。口福を追求するためには、患者さんに対しては治療よりも事前対応の予防をいかに提供できるかを考える必要がありますし、スタッフに対してはやりがいを持って働いてもらい成果をしっかり待遇や給与につなげていくこと、そして人間関係の良い職場を提供することが大切です。ここにこだわって取り組んでいけば、患者さんにとってもスタッフにとっても幸せをもたらす場所にしていけると考えています。

最後に、現状を踏まえクオキャリアへの要望があればお願いします。

ありがたいことに、スタッフがしっかりと育っているので、成長したみんなが活躍できる場を今後も提供していきたいと思っています。しかし将来は、世の中全体の人手不足が一層進み、歯科業界も人材確保がより難しくなることが予想されます。クオキャリアには、全国の歯科医院と協力して、歯科衛生士の学生はもちろん、中学生や高校生など未来を担う人たちに歯科業界の素晴らしさ、歯をケアする大切さを伝えていってほしいですね。