規模拡大に大切なのは「人材育成」。教育環境を整え、目指す歯科医療をより多くの人に
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現在3つの歯科医院を運営、さらなる分院展開を目指す さまざまな成長の機会を設け、プロとしての成長を促す 人が育って初めて規模の拡大が可能。教育に重きを置く
現在3つの歯科医院を運営、さらなる規模の拡大を目指す
開業から分院展開に至る経緯について教えてください。
鬼頭先生: 愛知学院大学を卒業後、名古屋市内の医療法人で約5年間研さんを積み、当院を開業しました。その後さらに、名古屋市内に2院を開業し、現在は3院を経営しています。私はもともと開業志向が強く、開業当初から「単院経営ではなく、複数の歯科医院を展開したい」と考えていました。今後も可能な限り拡大する構想を描いていて、将来的には医療法人全体の従業員が大体 100名規模の組織を目指しています。
規模を拡大するにあたり、何が大切だとお考えですか。
鬼頭先生: まずは、規模を大きくしてもそれまでと同じ質の歯科医療が提供できるよう、歯科医師や歯科衛生士など「人」を育てることが大切だと考えています。規模や時期にこだわってしまうと、本来あるべき進め方と順序が逆になってしまいます。100名というのも、厳密に決めた数字ではなく、組織としてそれぞれの歯科医院が自律的に成長できる体制を考えたときの、あくまで目安の人数です。現場の成長度合いをよく見極めて、それに合わせて分院展開するなど規模の拡大を判断するようにしています。
目指すは「プロの医療人」、さまざまな学びの場を用意
これまでは、特に問題なく拡大してきたのでしょうか。
鬼頭先生: 幸い、大きな危機はありませんでしたが、今でも試行錯誤しているのは、特に「人材育成」に関する部分です。集患の面では、しっかりとした治療を提供し続けることで、ありがたいことに多くの方に来院いただけるようになりました。一方で、人材を育てるには、長い時間が必要です。「これが正解」という決まったやり方があるわけではなく、一人ひとりと向き合いながらより良い形を常に模索しなければなりません。ですから、教育は当院で最も重きを置いている取り組みの一つです。
現在、具体的にはどのような教育をしていますか。
鬼頭先生: 当院に来てくれた歯科医師やスタッフには、「医療の世界で働くプロとして、しっかりと仕事をしてほしい」と考えています。そのためには、プロとして成長できる教育環境を整えることが必要です。院内の勉強会を開いたり、外部のセミナーに行く機会を設けたり、いろいろな工夫をしています。また、将来的に開業を考えている歯科医師に向けて、経営に関する実習や、歯科医師の先輩から指導を受けられるシステムづくりなどにも力を入れています。
教育環境を整え、スタッフが成長し、初めて規模の拡大が可能
マネジメントの観点では、いかがでしょうか。
鬼頭先生: 開業当初から気をつけているのは、私自身が感情的にならないことです。仕事をしていると、当然良いことばかりではありません。そうした際も感情をあらわにして怒ったりせず、冷静に対応するように努めています。それから、スタッフそれぞれの得意・不得意を見極めて、適材適所を意識しています。人数も増えているので、できる限りスタッフとコミュニケーションを取りながら、組織運営のやり方を工夫しています。
最後に、今後の展望について、お聞かせください。
鬼頭先生: まずしっかりとした教育環境を整えて、現場のスタッフが成長したと判断できたら、分院を増やして、さらに規模を拡大したいと考えています。もちろんスタッフの頭数を確保するだけであれば、例えば給与面を良くしたり、採用条件を上げたりすればいい。しかし、歯科医療の質を維持したうえで量を増やすためには、十分な教育が大切です。目指す診療を提供できる体制づくりを進め、今後も教育の仕組みに工夫を重ねていきたいと思います。