【歯科医院の「教育体制」についてアンケートを実施!】“コロナネイティブ”世代の歯科衛生士に響く新人研修を調査

全国の歯科医院を対象に、歯科衛生士の「教育体制・新人研修」をテーマとしたアンケート調査を実施しました。

近年、歯科の求人・求職市場は急激な変化の中にあります。“コロナネイティブ”とも呼ばれる求職者層も現れ、従来の採用手法・戦略が必ずしも通用しない状況となっています。そんな中、歯科求職人材からの注目度が高まっているキーワードが「教育体制」です。
そこでクオキャリアでは「教育体制」に焦点を当て、業界内でも特に新人教育に力を入れている医院が、どのような制度・ツールを導入・運用しているのかを調査しました。

これらのアンケート結果は、当社が今年11月に発行した新卒歯科衛生士向けの求人誌『しゃほかんV(ブイ)』の誌面上で紹介されております。
同誌は、《社会保険完備》《新卒歯科衛生士採用実績あり》など、7つの要件を満たした限られた医院のみが掲載できるプレミアムな求人誌です。
今回のアンケートでは、同誌に掲載されている《厳選》の医院から回答を集めました。以下では、その中から一部抜粋して調査結果をご紹介いたします。

※以下のコメント・各種データは、『しゃほかんV(ブイ)』掲載医院へのアンケート調査結果をまとめたものです(2022年10月クオキャリア実施/有効回答数:101)
※コメントのカッコ内は回答者の肩書き。
 

 
■新卒歯科衛生士の新人研修期間は?

調査対象となった医院の半数超は「3ヶ月間」という回答でした。

なお多くの医院で、「標準的な期間はあるが、進捗に応じて見直し」「個々のペースに合わせてカスタマイズ」というコメントがありました。歯科医院は一般企業に比べて少人数な分、一人ひとりの希望や能力に合わせた指導がしやすい環境と言えるでしょう。

また、これまでに当社が実施した調査結果から、コロナ禍による実習不足などもあり、現在の歯科衛生士学生は「何も分からないまま診療の現場に立たされる」ことに大きな不安を抱いていることも分かっています。研修期間の長短だけでなく、面談や日誌など、相談ができる機会・ツールもポイントとなりそうです。

  • 基本的には3ヶ月ですが、ドクターや主任DHの判断で早まる場合もあります(理事長)
  • 目標を設定し、進捗状況を相互で確認しながら進めています(院長)
  • 試用期間にあわせて3ヶ月間としていますが、新人の適性や理解度に合わせて期間を延長しています。必要があれば面談などもして、メンタル面のフォローも行います(歯科衛生士)

 

 
■診療マニュアルは?(どんなマニュアルを用意している?)※複数回答可

紙(冊子など)をベースに、アプリやデータ管理などとのハイブリッドで用意しているという回答が多く挙がりました。

特に、手技や患者対応などテキストでは伝わり切らない部分が「見て学べる」動画マニュアルを導入している医院も見られました。動画マニュアルの活用は急速に拡大してきており、今後もさらに伸びていくツールだと言えそうです。

※肩書きの前は「導入しているマニュアルの種類」です

  • 冊子版を1人1冊差し上げます。必要に応じて歯科衛生士が見直しを行い、ブラッシュアップしています(紙/院長)
  • 診療室では複数台あるiPadに入っており、好きなときに見られて、必要があれば印刷も可能。Googleで管理しているので、ログインすれば携帯などからいつでもどこでも見られる(動画、アプリ/院長)
  • 各診療マニュアルはクラウドに保存してあり、変更がある場合などはMTGでスタッフ全体に共有を行います(紙、他/採用担当)

 

 
■教育体制はマンツーマン?

75%以上が「マンツーマン」教育を導入していました。

「マンツーマン」とは言っても、特定の指導者のみが教えるものだけでなく、「分野や内容、期間により持ち回り」のケースも多く見られました。
他にも、チーム体制で指導するスタイル、採用人数が多い医院や座学を採り入れている医院では集団指導の形をとっているケースもありました。いずれも「完全固定」ではない場合は、指導内容や習熟状況を引き継ぐ体制も工夫しているというコメントが挙がりました。

  • マンツーマンで新人担当するのは、2年目の歯科衛生士です。新人に指導することで自身の成長にもつながります。内容によっては経験豊富な先輩歯科衛生士がつきます(採用担当)
  • 担当を2人つけており、どちらかが休んでも、同じようにサポートできるようにしております。また、片方に言いにくいことがあってもどちらかに言ってもらえるようにしています(副院長)
  • シフト制により持ち回りとなることが多いが、スキルチェック表により情報を共有している(採用担当)
  • 指導内容によって、個別か集団かは変えて指導(採用担当)

 

 
■歯科人材市場に関するさらに踏み込んだ分析も

ここまでに紹介した内容以外にも、クオキャリアでは「新人教育・研修体制」に関するさまざまな項目についてアンケート調査を実施して、歯科採用市場の“現在地”を測ろうとしています。

さらに、これらの調査結果を踏まえたセミナーも近日開催予定です。当社が有する歯科労働市場のキーパーソンたちとのコネクションを活用し、実際の求職者から集積した“生きた”データも駆使して、昨今の歯科採用市場の流れを読み解くイベントとなっています。

クオキャリアでは今後も、こうしたアンケート調査も含めて歯科人材市場に関するデータの集積・分析を行い、歯科医院と歯科求職人材とのより良質なマッチングの実現に努めてまいります。