大切なのはスタッフへの愛情、人がいてこそできる温かいもてなしで理念を実現
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採用で見るポイントは、歯科医院の理念に共感できるかどうか 人ならではの温かいもてなしのため、あえて自動化しない業務も 働きやすい「当たり前」の環境整備が、採用の大きな武器になる
採用で求めるのは、歯科医院として掲げる理念に共感できる人
現在の体制、採用の方針について教えてください。
酒井 敏貴 先生: 現在、歯科衛生士5名、受付4名の体制のスタッフが勤務しています。ユニットの数6台に対して、人数は相当多いほうかもしれません。当院では、「私たちは大切なあなたとの出会いに感謝しあなたにとっての最高のおもてなしと歯科医療の提供をお約束いたします。」という理念を掲げています。採用で大事にしているのは、この理念に共感してくれるかどうか。同じ方向を向いて仕事ができると思える方を採用するようにしています。
理念を浸透させるために、意識していることはありますか。
理事: 私は新人研修を担当しているのですが、院長が開業時に作成した理念を噛み砕いた冊子を使って、理念を体現する上で大切にしてほしいこと、必要なことを研修時に説明するようにしています。また、現場に入ってからも週報を書いてもらい、院長や直属の上司が都度フィードバックしています。さらに、ちょっとしたアドバイス等をする際も理念に沿った伝え方にするなど、だんだんと行動に落とし込めるように工夫していますね。
人がいるからこそできる、温かいおもてなしを提供したい
どのような理由から、多くの人員を配置しているのでしょうか。
酒井 敏貴 先生: 良いサービスを実現するためです。例えば、お客様の満足度が高いホテルや旅館を見ると、適切な対応ができるよう多くのスタッフがいますよね。時代にそぐわないかもしれませんが、人がちゃんと配置されていて、何かあったらすぐに対応できるようになっている。人がいてこそ、温かいおもてなしができると考えています。例えば当院では、自動釣銭機を設置していません。便利だとしても、患者さんがそこに温かみを感じられるかというと、そうではないと思うからです。
どのように大人数のチームを管理しているのですか?
酒井 敏貴 先生: 私の視点に立って、理念を体現しているメンバーを5人選出し、その人たちにある程度の管理を任せています。今度、西新宿に新たに分院をオープンするので、その関係で私が不在にすることが増えているんです。そのときに私の考えに沿ってマネジメントしてくれる人間が必要ですし、他のスタッフも、院長である私から何か注意されるより、距離が近いスタッフから言われるほうが受け入れやすいのではないかと思っています。
働きやすい「当たり前」の制度を整え、スタッフに愛情を
分院は、経営戦略として開業時からお考えだったのでしょうか。
酒井 敏貴 先生: 経営戦略というよりは、治療や医院のマネジメントの他に私ができることは何かを考えたときに、働く場を提供することだと思ったんです。ありがたいことにクオキャリアさんでの募集に対していつも多くの応募があり、採用枠の関係で良い方でもお断りせざるを得ないことが増えてきました。面接で話を聞くと、仕事に熱意がありながら他院で上手くいかなかったという方も多く、なんとか救えないかと思い、仕事を全うできる環境づくりをしたいと考えました。
対スタッフの観点での分院展開なんですね。
理事: そうですね。働く人の満足度が高くなければ、患者さんにご満足いただける歯科医療は提供できません。歯科業界は、社員に対するケアや環境整備が、他の業界よりも一歩も二歩も遅れています。逆を言うと、気持ちよく働くために当たり前の制度を当たり前に整えれば、それが武器となり、人はたくさん来てくれるのではないでしょうか。これからも、スタッフに愛情を注ぎ、皆で理念を体現していきたいと思います。