大切なのは「人」、魅力として伝えられるチーム作りが採用につながる

大切なのは「人」、魅力として伝えられるチーム作りが採用につながる

  • 採用は歯科医師と歯科衛生士のみ、受付をおかない組織運営と新卒採用主義の理由 ミスマッチの懸念がありながらも採用、結果として問題が発生し後悔した経験も 大切なのは「人」、いかにここで働きたいと思えるチームを作り、魅力を伝えるか

歯科医師と歯科衛生士のみを採用、受付をおかない理由とは

貴院の診療や採用の特徴について教えてください。

飛田 康平 先生: 当院は、2012年に開業した、矯正治療が専門の歯科クリニックです。小児矯正から大人の矯正、部分矯正など、一人ひとりの症状に合わせた装置の提案と治療を行っています。ユニットは4台あるのですが、予約を入れるのは3台のみで、1台は空けるようにしています。そうすることで、急な患者さんが来たり診療が延びたりしても、予約の患者さんを待たせずに治療できるようにしています。また、当院には、歯科助手も受付もいないんです。募集しているのは、歯科医師と歯科衛生士のみ。現在は5人の衛生士が勤務していますが、今後も特に助手などを採用するつもりはありません。

どのような理由で、そうした採用にしようと決めたのでしょうか。

例えば、受付専門の方がいる場合、その方が急に休むと全体がバタバタとしてしまいます。受付業務をわかっていない人がイレギュラーにその場で対応するので、混乱が生じるんですね。対して、普段から歯科衛生士が受付業務を担当していれば、誰かが急に休んでも、無理なくカバーし合うことが可能です。また患者さんからの問い合わせの電話への対応でも、歯科衛生士であれば話しを聞いて、すぐに来院が必要か、様子見で大丈夫なのか、判断ができますよね。

人のストレスが最も問題。懸念がありながら採用し後悔したことも

受付業務をすることに、不満などは出なかったのでしょうか。

患者さんの電話対応やお金の取り扱いなど、普段とは異なるストレスがかかるので、他院で仕事をしたことがある歯科衛生士はみんな「受付業務は嫌だ」と言います。そのため当院では、新卒しか採用していません。新卒であれば、それも仕事の一つとして受け止めてくれます。また、受付業務を担当したことがある歯科衛生士は、その大変さを知っているので、他院に行っても受付や他業種の方に敬意を持って接することができるようになると思っています。

採用にあたり、過去にご苦労なさった点はありますか。

もともとミスマッチの懸念があった子を人数確保のために採用してしまい、やはり周囲と上手くいかなくて困ってしまった経験があります。それ以来、人手不足でも自分の中で「なし」と思ったら採らないことにしました。スタッフが足りなかったら、足りない人数で調整しようと今は思っています。人によるストレスがかかるのは本当に嫌なので、問題となる人が来るぐらいだったら、ある程度、規模を縮小してやりたいと思っています。

大切なのは「人」、魅力として伝えられるチーム作りを

人数よりも質を重視しているんですね。

そうですね。無理やり採用しないといけない事態にならないためにも、ある程度余裕を持った人員配置が理想ですね。とはいえ、当院のような規模だと、採用に至る前の段階で、まず応募してくれる人、見学に来てくれる人を確保するのも簡単ではありません。どうやったら求職者に興味を持ってもらえるのか、今のスタッフに当院を選んだ理由や応募が来るようになるためのアイディアを聞いて、募集方法に反映するようにしています。

具体的に、どのような方法につながったのでしょうか?

ヒアリングをして感じたのは、「人」が大切だということです。給与や休みの日数など、細かい条件を重要視している人はそれほどいません。楽しく働けるか、一緒に働く仲間はどんな人か、それが大きく影響するんですね。スタッフの写真を載せる、院内の雰囲気を伝える、そして何よりも魅力として伝えられる歯科クリニック、チームを作り上げる必要があります。ここで働きたいと思ってもらえる組織運営が、やはり大事になってきますね。