
既存スタッフをどれだけ大切にできるかが重要。「ここがいい」と思ってもらえる医院であり続けたい
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ユニットと歯科衛生士が同数のゆとりある人員配置 既存スタッフと年齢の近い人材を採用。研修で医療の質を均一化 「今いるスタッフ」を大切にする組織づくり。ニーズに応じた進化も重要
患者さん、そしてスタッフのために 人員配置にゆとりを持たせる
開業にあたって苦労したことはありますか?
大本 勝弘 先生: 一番は開業地の選定です。ちょうどコロナ禍だったので、社会的な状況が変化している時期で、考えなければならないことも多く、決定に3年ほどかかりました。開業までに歯科衛生士が確保できるかも不安でしたが、オープニングスタッフということもあり、そこまで苦労せずに採用できましたね。ユニット3台からスタートし、半年後に4台に増やしました。現在工事中でまもなく6台になります。
余裕のある人員配置ですが、はじめからそのビジョンはお持ちだったのでしょうか?
大本 勝弘 先生: はい。開業前から、患者さんのニーズを満たすためには、ギリギリの人数ではなく、ユニットと同数の歯科衛生士が必要だと考えていました。スタッフが潤沢だと忙しい時間帯でもバタつくことがなく、診療にも集中できますしね。今回のユニット増設も、すると決めた段階で求人を出し、増設前から働いて慣れてもらった状態で着工したので、スタッフも心身ともに余裕を持って臨めたと思います。
既存スタッフと同世代を採用 外部講師による研修で医療の質も均一化

スタッフの採用や教育はどのようにされていますか?
大本 勝弘 先生: スタッフは20〜30代前半が集まっています。私の経験上、年齢が近い人同士のほうが連携が取りやすく、働きやすい気がしていて。採用では、今いるスタッフと同世代で医院の雰囲気とマッチする方を選んでいます。また、教育は外部講師を招いてセミナーを行っています。本を出版されている著名な先生なので、スタッフもすごくリスペクトしていて学ぶことに意欲的。全員がその先生から教わることで、医療サービスの質も均一化できると考えています。
マネジメントはどのような方針でされていますか?
大本 勝弘 先生: 3ヶ月ごとに個人面談を行なっています。「もう少し声を大きくしよう」など、直してほしいところがあったら理由もセットで伝えています。定期面談のほかに、悩みがありそうなスタッフがいたら私から声をかけて話をすることも。その場合は前日の終礼で「明日〇〇さんと面談するからよろしくね」と全員に共有し、翌朝の診療準備の時間に面談しています。変に隠すこともせず、風通しは非常に良いですね。
組織をつくるために人を集めるのではなく 今いるスタッフに長く続けてもらうために組織がある

今後の展開はどのように考えていますか?
大本 勝弘 先生: 患者さんのニーズに合わせることを最優先にしつつ、今後も地域に根差してやっていこうと思っているので、予防歯科には注力していきたいですね。予防のためにはきちんと定期的な検査に通ってもらうことが大事だと、歯科衛生士には常々伝えています。また、患者さんと意思の疎通ができてないと信頼して通っていただけません。当院では歯科衛生士たちが頑張ってくれているおかげで、患者様も多く来院されています。一方で、今の医院規模に限界を感じることもしばしばあって。良い物件が空けば分院展開も検討しています。
5年、10年と続けていくためには何が重要だと思われますか?
大本 勝弘 先生: 「既存のスタッフにどれだけ長く働いてもらえるか」です。組織をつくるために人を集めているのではなく、今いるスタッフに続けてもらうために組織があると思っているので。歯科衛生士は横の繋がりが強いので、他へ行かずに「ここがいい」と思ってもらえる医院であり続ける必要があると思っています。例えば、知識やスキルが身につく研修を実施するとか、診療時間をもっと短くするとか。ニーズや状況に応じて医院自体が柔軟に変化していくことも重要だと感じています。