受け身の採用をやめたことが好循環を起こすきっかけに

受け身の採用をやめたことが好循環を起こすきっかけに

  • 3人採用しても残るのは1人.経験者の退職も続出 求める人物像を明確化.ターゲットに響く求人情報を作成 学ぶ意欲が高い歯科衛生士ばかり.退職者もほぼゼロに

採用ターゲットが曖昧な受け身の採用。早期離職が相次ぐ

貴院の採用活動の特徴について教えてください。

塚原 宏泰 先生: 新卒採用に力を入れています。中途の場合は前職の職場環境など比べる対象があるからこそ、当院のやり方を教えても「前の医院はこうだった」と不満が出たり、モチベーションが下がったりするんですよね。また自分より経験の浅い人が知識や技術をどんどん身につけて活躍している姿を目の当たりにして、挫折してしまうケースもあります。一方で、新卒で右も左もわからない状態の人は、教えたことを素直に受け止めてスポンジのように吸収してくれるので、結果的に伸びるんです。

採用活動で課題に感じていたことはありますか?

塚原 宏泰 先生: 医院の立地もあってか、開業当初から求人を出せばたくさんの応募が来ました。しかし早期離職が多く、3人採用しても残るのは1人という状況。さらにある時期には2年以上経験を積んだスタッフの退職が続出したんです。なかには「突然来なくなる」「ロッカーに保険証を置いたまま次の日から来ない」なんて人も。当院にマッチした長く働き続けてくれる人材を採用するためにはどうしたらいいのか悩みました。

木村 友里子 理事: 当時は採用ターゲットを設定せず、いろんなメディアに求人を出していました。それでもありがたいことに応募はあったので、人手不足を補うためにとりあえず採用して。そのなかで残ってくれている人を大事にしようという考えだったんですよね。

外部からの視点も加わり、採用ターゲットに響く求人情報に

状況が変わったきっかけは何だったのでしょうか?

塚原 宏泰 先生: 採用プロセスを設計したことです。採用ターゲットについても、どんな人なら当院で活躍できるか、どんな人なら当院に溶け込めるかなどを考え、求める人材のイメージを明確にしていきました。志向や人柄を知るために、面接時にどのような質問をしたらよいかも考えましたね。

採用方法をがらっと変えたんですね。

木村 友里子 理事: はい。求人情報もそれまでは一般的な求職者像を想定した内容でしたが、ターゲットを意識した具体的なアピールに変更しました。当院はウェブアンケートでスタッフの満足度調査をしているのですが、クオキャリアの営業さんから「そういった取り組みをしているのであれば求人情報に載せましょう」と言っていただき、求人情報に掲載しました。

塚原 宏泰 先生: 求職者の求めているもの、何が安心材料になるかなどもアドバイスをいただけて、より魅力的な求人情報に仕上げてもらえてありがたかったです。またこれまでスタッフにとって働きやすい環境づくりに注力してきましたが、自分たちのしていることの方向性の正しさも確認できました。

退職者ほぼゼロ。「今が一番いい状態」

スタッフとの関わりで大切にしていることはありますか?

木村 友里子 理事: 一人ひとりとしっかりコミュニケーションを取ることです。そのために当院のスタッフ専用のホームページをつくりました。就業規則から院内ルール、ごみの捨て方や今年の夏休みの日程など、大小さまざまな情報が載っています。そういった基本的な情報をオープンにしたことで、結果的にスタッフとより深いテーマについても話せるようになりました。夏と冬には1対1で面談も行なっています。

どのような想いで人材育成されているのでしょうか?

塚原 宏泰 先生: 「どこに行っても通用するように」ということだけですね。もちろん当院でずっと働いてくれるのが一番ですが、その方の人生なので、他院に行ったとしても活躍できる衛生士のスキルを身につけてほしいと思っています。今いるスタッフは学ぶ意欲が高く、積極的に講習会に行ったり、認定資格を取得したりしています。新しく入った方はきっとロールモデルとなる先輩が見つかると思いますね。

木村 友里子 理事: 採用ターゲットを設定したことで、当院にマッチする人が入ってきてくれていると実感しています。早期離職もなく、遠方への引越しなど、やむを得ない事情以外での退職はゼロ。今が一番いい状態です!医院としては今後より専門性を高めてやっていこうと考えているので、今いるスタッフとともに頑張ってくれる方が入ってくれると嬉しいですね。