「自分でやる」ではなく「人に任せる」が、組織としての力を最大化する

「自分でやる」ではなく「人に任せる」が、組織としての力を最大化する

  • 即戦力採用の失敗経験から新卒採用中心に 歯科衛生士が次々と退職.表面上の理由とは別の問題も発覚 主任ポストを設立.定着率、リコール率ともに向上

虫歯治療から予防歯科へシフトチェンジ。歯科衛生士の増員が急務に

求人メディアを活用して採用活動をしようと思ったきっかけはありますか?

福沢 裕基 先生: 開業当初は虫歯治療が中心でしたが、10年ほどして予防歯科に力を入れていこうと考えました。予防歯科では定期的にメンテナンスに通ってもらうことが重要。リコール率を高めるために歯科衛生士は絶対に必要な存在なので、すでに3人いましたが、さらに人数を増やさなければならないと思いました。

新卒採用は考えていましたか?

いえ、はじめは即戦力を採用したいと思っていました。しかし経験者を入れてみたところ、教えても前の医院のやり方が抜けず、職場にも馴染めなくて辞めてしまったんです。そこで真っ白な状態の新卒のほうが教育しやすいのかもしれないと考え直して。新卒採用に強いイメージがあったクオキャリアを活用することにしました。実際にこれまで何人も新卒を採用していて、今年新卒で入った方もクオキャリア経由です。

勤務時間の長さを理由に次々と退職。職場環境の改善を決意

採用において課題に感じたことはありますか?

5年前までは定着面に課題を感じていました。原因は明らかでした。今は診療時間が18時半までですが、当時はかなり遅い時間まで診療していたので、体力的にしんどかったようです。辞める人のほとんどが「終わる時間が遅い」「勤務時間が長い」という理由でした。一方で、患者さんからは「遅くまでやっててくれるから助かる」という声をいただくことも多くて。そのジレンマを抱えていました。

その時期に人が定着しない理由が明らかになったんですね。

はい。たださらにわかったことがあって、退職理由がみんな同じだったこともあり、当院には人間関係の問題はないだろうと思っていたのですが、ゼロではなかったんです。残ったスタッフが「実は…」と打ち明けてくれて、私が知らないところでそんなことが起きていたのかと驚きました。その出来事をきっかけに職場環境を改善しなければならないと思ったんです。

主任に現場を一任。雰囲気が良くなり、患者さんや求職者からも好評価

そこからどのように動いたのでしょうか?

まず診療時間および勤務時間を見直しました。スタッフの心身の負担が軽減されたことで、自然と応対の品質は向上、結果的には患者さん満足につながったのです。
次に歯科衛生士に主任のポストを設けることにしました。それまで私がやっていたスタッフの管理や指導など、現場のことを任せるようにしたんです。そうすることでそこからうまくいくようになり、定着率も上がりました。同じ内容でも院長から言われるのと歯科衛生士の先輩から言われるのでは印象が全然違うようですね。今の主任は伝え方が上手で、相手がグッときたり、ワクワクしたりする言い回しをしてくれるんです。相談を受けたときも、まずは「その気持ちわかるよ」と共感してあげています。もちろん主任に任せっきりではなく、密にコミュニケーションを取って、全スタッフの現状を把握しています。一人ひとりに目が行き届くのは、単院だからこそのメリットだと思いますね。

居心地の良い職場になったんですね。

はい。今は医院の雰囲気がとても良く、そこが強みでもあります。見学や面接に来てくれた人からも、よくそう言っていただき、大手と迷って最終的に当院を選んでくれた人もいました。雰囲気の良さは患者さんにも伝わっているのでしょう。ここ5年のリコール率は常に70%以上。80%近い月もあります。
新卒で入った人が定着して、後継も育ち、今組織としてとてもいい状態をキープしています。しかし私含め、みんながずっと働き続けられるわけではないので、今後は知識や技術を継承していくことが大事になってくると思っています。そういった意味でも、今がいい状態だから採用をやめるのではなく、これからも当院にマッチする人材を見極めながら採用活動を行なっていくつもりです。