理想の歯科医療提供に必要なのは「人」、良い人材確保の秘訣とは
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開業当初からいた歯科衛生士が退職、応募ゼロが続く 問題にはクリニック全体で対応、スタッフとの信頼関係構築を重視 分院、訪問診療…理想の歯科医療の実現には「人」が重要
理想を胸に開院も、応募ゼロで採用の難しさを実感
こちらの歯科クリニックの開業経緯、特徴を教えてください。
竹野 智崇 先生:
もともとこの場所で、私の父が介護施設を経営していたんです。また、兄が医師をしていることから、医科併設、さらに介護事業と連携できる歯科医院を開業したいとかねてから考えていました。ちょうど私が専門医を取得した時期と、大学に勤めていた兄の仕事がひと段落つく時期が重なり、2017年、当院を開院しました。医科・介護と連携できる強みを生かし、地域に根付いた、ご家族皆さんで通っていただけるような歯科クリニックを目指しています。
開院当初は、どのような形でスタッフを採用していたのでしょうか。
開業時は、大学時代から一緒に仕事をしていた歯科衛生士の方が来てくれて、歯科衛生士はその方一人という体制で診療をしていました。開業して1年ほどたって軌道に乗ってきたころ、その方が結婚して退職することになり、一般の求人誌などに掲載をして、歯科衛生士の募集をかけました。ところが、良い方がいないどころか、そもそも応募自体が一人も来なかったんです。採用は難しいと聞いてはいましたが、こんなに大変なんだと改めて実感しましたね。
問題が起きたら、個人ではなくクリニック全体として対応
クリニックを運営する上で、人材育成、組織作りにおいてご苦労なさった点はありますか?
今でこそコミュニケーションをとってスタッフがみんなしっかりと仕事をしてくれていますが、かつては、組織作りに苦労したこともありますね。やりたい医療を実現するためには、やはり人材が必要になりますが、以前に一度、スタッフ間の人間関係の悪化がきっかけで歯科クリニック全体が空中分解したような感じになってしまったんです。結局、そのときは組織全員の協力もあってうまくまとまることができたのですが、スタッフとの信頼関係を築くことの大切さ、手を抜かずに一つ一つ組織作りをしないといけないと改めて感じた出来事でしたね。
そのご経験から、何か取り入れたことや、変えたことなどはあるのでしょうか。
一つ意識するようになったのは、何か問題が起きたときに、個人にその原因の所在を求めないことです。組織の問題として捉え、解決策を探っていく。そうすることで、スタッフの空中分解を防ぎ、まとまることができるのではと考えています。採用においても、クオキャリア担当者の方にその方針を理解いただき、当院に合う求職者にどうやったら訴求できるか、きめ細かく提案してもらいました。今では人も定着し、中長期で組織作りができるようになってきています。
理念を共感できるスタッフとともに、今後も地域に根差した診療を
院長として、こういう人に来てほしいという、求める人物像はありますか?
最初にお伝えしたように、当院は地域密着型のご家族で通っていただける歯科クリニックを目指しています。技術ももちろん大切ですが、それよりも、患者さんとしっかり会話をして、信頼関係を築いていくことができる方に来ていただきたいですね。また、急な退職など人手不足はいつやってくるかわかりません。より良い診療を提供し続けるためには、常に採用を考え、余裕のある人員配置をしていきたいと考えています。
歯科クリニックとしての将来の展望、力を入れていきたい診療はありますか。
駅前に分院をオープンしたんです。遠方の方も電車で通いやすい場所なので、例えば審美など、本院とはまた違った治療もご提供したいと考えています。それから、本院では歯科の訪問診療も行っています。こちらは、医科、介護と連携しながら地域の皆さんをサポートしていきたいと考えています。いずれにしても、大切なのは「人」です。求人は常に最優先事項として力を入れ、いいスタッフと理想の診療を実現していきたいと思います。